流山のまちを見て桐生に思うこと

桐生で育った画家、山口晃さんの作品『ショッピングモール』を具現化したような、流山おおたかの森駅(つくばエクスプレス線、東武アーバンパークライン)を核とした一帯には、そんな雰囲気のまちが広がっていました。しかし、流山の魅力をここだけで語るのは賢明ではありません。西桐生駅と同じく1998年に「関東の駅百選」に選ばれた流山駅(流鉄流山線)とその周辺は、水運やみりんの醸造で栄えた昔ながらのまち並みを残しています。子育てのことがとりわけ注目される流山ですが、それだけにとどまらず、ここは古いものと新しいもの、長くそこに住む人と移り住んで来る人が共存する「多様性のまち」だと私は思いました。

かく言う私も、子育てを重視したまちづくりがどんなものか、何か桐生でも参考にできることがないか、と流山に足を運んだわけですが、現実はそんな生易しいものではなかったです。並々ならぬ努力をしているこのまちを誰が真似できようか。真似にはほとんど意味がない、もっと広い視野で先を見るべきだと思いました。それはつまり、ここにいる子どもたちが5年後、10年後にどう育つか、ということです。

例えば先日、東武鉄道の特急「リバティりょうもう」を活用し、桐生を含む両毛地域の野菜などを都内(北千住駅)へ輸送、販売するという実証実験が行われました。東武鉄道のリリースをよく読むと、この実証実験は、野菜を販売することで利益を得るという経済的な面よりも、規格外で出荷できない野菜があることや農家の後継者不足を、輸送や販売の作業を通じて高校生に知ってもらうという教育的な面が強調されています。であれば、消費する側が親子なら全体の教育効果は、より高いはずです。要するに、次は流山で販売したらいいと思います。北千住から流山おおたかの森までは20分前後です。

逆に、こちらへ来てもらうという発想もあります。子どもが小さいうちはあまり遠くへは行きにくいですから、旅行をするにも桐生くらいの距離がちょうどいいかもしれません。体験型ワーケーション企画などをプロモーションするなら、流山こそが最適ではないでしょうか。

また、近い将来には子どもたちが進学というフェーズを迎えます。アクセスが便利だからといって、みんながみんな都内やつくばに行くとは限りません。地方で学ぶことを求める子ども、または親もきっといるはずです。それが多様性です。そして、それは大学進学だけに限ったことではなく、今の桐生の状況とポテンシャルを考えたら、高校教育を売りにできるかもしれません。と、さすがにこれは妄想の域に突入してしまいましたが、もしそんな夢みたいなことが実現するなら、行政には公立・私立を問わず寮や下宿の家賃を全額補助するくらいの気概を見せてほしいですね。

最後に一つ、流山の地名の由来には「赤城山の土が流れ着いて作った山」という説があるそうです。「土に根を下ろし、風と共に生きよう」(映画『天空の城ラピュタ』より)という詩を思い出しました。

【投稿者:はたのね編集部】桐生を元気にする情報を発信していきます。

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