孫へのバトン。桐生市錦町の銭湯「上の湯」が再開
桐生市錦町の銭湯「上の湯」が7月7日にリニューアルオープンしました。先代の孫である津久井美紅さん(26)と夫の篤さん(29)が事業を引き継ぎ、この度の開業にいたったものです。
▲上の湯の外観
▲営業再開を知らせる貼紙
津久井さんご夫婦が上の湯を継承しようと決意したのは、今年5月に亡くなった先代の笹倉幸一さんの入院がきっかけ。2月13日に幸一さんが入院され、翌日から上の湯は休業状態となっていました。先代の妻の文子さん(77)は、これまで夫婦で支えてきた上の湯について「銭湯は体力仕事だから、1人では絶対できない」と、再開を諦めていたと言います。
▲手書きの連絡ボードは卓球台を再利用
3月に孫の美紅さんから上の湯の継承を持ち掛けられた際には「身近にいたのに、孫が継ぐとは考えてもみなかった」と振り返る文子さん。後から嬉しさが湧いてきたそうです。
▲レトロな下足入れ
▲1回10円のマッサージチェアも現役
津久井篤さん、美紅さんご夫婦は上の湯の継承について「いずれやりたいと考えていたが、まだまだ先かなと思っていた。先代の入院をきっかけに、常連客への対応や、設備の面でも早い方がいいと決断した」とのこと。「地域には高齢者が多く、銭湯に頼っている方もいるので早く再開ができて良かったと」と振り返ります。
▲男湯
▲女湯
▲以前の女湯の写真
▲湯船には鯉のタイルを新設
営業再開に当たってのリニューアル工事では、上の湯を象徴する鯉のタイル絵など、これまでの良さを残しながらも浴槽タイルを水色等に貼りかえ、より明るい印象となりました。また、もともとは男女別の入口だった間取りを変更し、番頭台脇に待合スペースを新設。牛乳を飲んだり、入浴後の待ち合わせなど、新しいくつろぎの空間が出来上がりました。このスペースに置かれた椅子は文子さんの愛用品とのこと。椅子に置かれた絵本を読み聞かせる親子の姿があるなど、早速人気のスペースとなっているようです。
▲待合スペースでくつろぐ津久井さんご夫婦と文子さん
▲待合スペースには牛乳の冷蔵庫も
今後について篤さんは「少しずつ、今あるものを活かしながら新しいことに挑戦していきたい」と意気込んでいます。また「銭湯は若い世代にはあまり馴染みがないが、気軽に寄ってもらいたい」と来場を呼び掛けています。
▲鏡は四角から丸になりポップな印象に
▲手作りのオリジナルグッズもあります
最盛期は40軒以上の銭湯があったといわれる桐生市ですが、残る銭湯は2軒となってしまいました。市民の生活を支える場所としてのみならず、桐生のノスタルジーを感じられる場所としても価値ある場所だと感じます。若手が引き継いだ銭湯の灯。上の湯さんがこれから桐生の街で長く愛されていくことを願っています。
ぜひ気軽にお立ち寄りください。
▲天井の高い開放的な浴場
▲上の湯の煙突
【上の湯】
場 所 群馬県桐生市錦町1丁目8-11
営業時間 14:00~21:00
定 休 日 毎週月曜日
駐 車 場 鈴木とぎや刃物店西側の月決め駐車場(8台)
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