七夕伝説とは少し違うおはなし。桐生で語り継がれる「白瀧姫伝説」
7月7日、七夕ですね。織姫と彦星が登場する七夕伝説は皆さんご存知のところかと思いますが、その七夕伝説に似ているような、でもちょっと違うような伝承が群馬県桐生市に残されています。「白瀧姫伝説」といいます。同市川内町には白瀧姫をまつる白瀧神社があり、日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」に選定されています。
▽桐生織で作られた白瀧姫の額
白瀧姫伝説の内容は次のようなものです。その昔、現在の桐生にあたる地域に住む青年が朝廷に勤めることになりました。そこで出会った白瀧姫と歌のやりとりを通じて身分の違いを乗り越え、ついには帝の許しを得て夫婦となりました。青年と共に桐生に来た白瀧姫は、朝廷で身に付けた織物の技術を桐生に広めたと伝えられています。
▽白瀧神社の境内にある案内板
白瀧姫の特徴は織姫を思わせ、帝の許しを得て青年と夫婦になるというあたりは七夕伝説に近いものがあります。その後、帝の怒りを買って離れ離れにさせられる―という七夕の最重要ポイントとも言える展開はありませんが、現実的に考えると、二人は働き者で帝に怒られることもなかった―という話のほうが、平和で幸せな結末かもしれませんね。働き者でなければ「かかあ天下」にはなれないのです。
▽白瀧神社の社殿
白瀧神社は少し前にこのサイトで紹介した宝徳寺(https://hatanone.com/archives/117)の近くです。境内には、耳を当てると機音が聞こえたという「降臨石」や、市指定重要無形民俗文化財の「白瀧神社太々神楽」が行われる神楽殿などもあります。同じく境内にある針塚は、裁縫仕事などで使い終えた針を豆腐に刺して納める「針供養祭」が行われることで知られています。
▽境内にある神楽殿(左)と針塚(右)
桐生市ホームページによると、白瀧神社の主祭神は天八千々姫命と白瀧姫命とされています。「々」は繰り返し、「姫命」は「比売命」と同義なので、おそらく天八千々姫命は天八千千比売命のこと。そして、天八千千比売命は天棚機姫神と同一または近い関係の神様だそうです。天棚機姫神は「あめたなばたひめ」や「あめのたなばたひめのかみ」といった読み方をします。というわけで、七夕と関係ありそうな感じが出てきましたが、ここから先は調べるのに時間がかかりそうなので宿題にします。
この記事へのコメントはありません。